茶の刺繍、ファミコンのマッピー

カフェにんに へ行った。(http://yukifuneemma.com/sakusaku/cafe.htm) 想像していた以上の"自宅の一室"へ案内されて、はじめは少し緊張していたけれどギンガムチェックのクッションを抱いて座っているうちにいつの間にか自然にくつろげていた。「涙がふけるホットケーキ」は3枚重ねで、うさぎの焼き印が3つ押してあって、大胆に3枚重ねのまま食べてみたりした。ホットケーキってこんなに口を大きく開けて食べるものだったんだなあと気付いた、それが一口サイズに切り分けたものでも。さらに涙がふけるなんていいね。タロット占いをしてもらおうと思っていたけれど、占ってほしい心配事がひとつもなかったのでやめにした。
雪舟えまさんが「手紙魔まみ」の短歌を朗読したライブを見たことがあって、他人の短歌を朗読することもあるんだなと思って、つい最近友人から借りた穂村弘の「ラインマーカーズ」でそのシリーズを読んで、今日まみは雪舟さんであったことを知って、とても驚いている。彼女の住む部屋にいて、近しい人とお会いしてお話しして、でもその彼女はいなくて、彼女の不在と会ったような気持ち。本人とのご対面はまた次回、と楽しみを延長されたような気持ち。なんだか前からすごく会いたかった人だったように思えてくる。「たんぽるぽる」をこれから読み始めてみる。歌集と一緒に、クネっと内股で叫んでいるようなポーズをした、なんともいえないいい顔をしているうさぎの描いてあるポストカードを買った。一緒に行った友達と懐かしい話をたくさんして、小学校の頃は転校していった同級生や転校する前の学校の友だちとよく文通していたことを思い出した。また人と文通を始めたい。
帰り際、ずっと無音だった部屋にkyoooさんの『鳥が歌う』が流れた。彼女は私の、いなかった同級生だったのかもしれない。彼女に似た友だちがいたようないなかったような、多分いなかった、でも気配が懐かしくて、昔から知っていたような。初めてライブハウスでお見かけした時にもしかしたら知っているかもと思ったのはYoutubeで歌っている動画を見たことがあったからで、Twitterをフォローしていたからで、見かけが知り合いに似ていたからで、多分それだけでなんでもないんだけれど。いなかった同級生に似ている、なんてことを思ったのは生まれて初めてで、うまく言葉が出なくて伝えられる気もしなくて、かなり動揺していた。

ことばを褒めてもらえるのはとても嬉しい。人当たりが良さそうに見えると評してもらえて嬉しい。大学に入ってサークルの友達と仲良くするまで、人と話して自分が思ったことや考えたことを伝えようと試みた経験を覚えていなくて、そんなところからよくここまでやってきたものだと感心してあげる。イメージや言葉を断片でしか並べられなくてどうにかそれを繋ぎ合わせて文章を書くしかできないこととか語彙が足りなくて変な言葉で補ってしまうことは、その過去の後遺症なんだ、って私がさっき言っていた。
夜、窓を開けて、誰かのいびきかと思ったけど道路を走るバイクの音だった、と思ったら隣の家の犬のいびきだった。毎晩鳴き声は聞くんだけれど、一度もその犬を見たことがない。