Hope

中尾憲太郎のベースの一音になりたい。 なんかもう、今からあんなにかっこよくベースが弾けるようになりたいとか、ああいう風になりたいとかは思えなくて、かといってFIXEDというロンTを着たり、似たような金縁メガネをかけても憧れの人のようにはなれないので、もう自分の好きなものそのものになりたいと願うことが最近は多い。この前はどれも美味い料理を出すこじんまりとした居酒屋で、ぜんぶ飲み干してしまいたいこの蛤の酒蒸しの出汁になりたいとさえ思ってそれを口にし、「それじゃ飲めないじゃん」と同席していた人にドン引きされたけど、わたしはその後にオーダーしたカウンターの中で手ぎわよく握られるあきらかにおいしいであろう白飯のおにぎりそのものになりたくもあり、実在する尊いものそのものになりたい。 ナンバガ無観客生配信アーカイブを見返していて、あの凄みのある迫力ある音圧はすばらしくかっこよくて一音といわずベースラインになってあのバンドのたった1曲でもその一部になれたらどんなにいいだろうとひとりの部屋で夢見ている。