その人に話したいこと

その女の子の口角の、ずっとあがってるのがかわいい。
日光東照宮へ。他にどこか行きたいとこはないのって訊いたら「月」だって言う。 / 徳川家康の墓へ続く長い階段にずっと人が並んでいる。少しずつ前へ進んでいく。金持ちは豪華な墓を作るべきだ、と考える、エンターテインメント性を持たせて日光東照宮のような。死んだ後何が嬉しいかって生きてる人が自分のことを想ってくれることだろうと思えば、有名でありたいならそのためには、豪華なお墓を作ってたくさんの人に参ってもらうのがいいだろう。その前日には祖父の墓参りをしてきた、風がひどく強い日だったのに集まった親族で車に乗って出かけて、水をかけて石を綺麗にして、新しい花を供えて、ひとりずつお線香をあげる。ああ血が繋がってるんだなと思う。こんなに風が強くて、出かけるのも億劫なのに出かけたのだった。帰りにハンバーグを食べに行ってみんな同じようなメニューを頼んでいた。 / 日光では、鳴龍が一番迫力を感じてグッとくるので好き。天井にいて白黒なのに、何でか二次元に見えない。鳴龍の真下へ行くまでもひどく混んでいて、ぎゅうぎゅうになりながら少しずつ進んだ。みんな水の分子みたい、人の流れが水の流れのようだなと思っていた。 / おみやげが好きだ。おみやげを見るのも買うのももらうのも好き。おみやげ屋を見かけると入らずにいられない。同じ観光地でいくつもおみやげ屋さんに入ると大体メジャーなおみやげがわかってくるものである、このクッキーとダックワーズはどこに行っても必ずあるな、というような。あれもこれも食べてみたいし買って帰りたいしと悩んで自分の身体の限界が染みる。
お好み焼き・もんじゃ焼き鉄板焼きのお店へ行く。うちではもんじゃ焼きが出てきたことがなくて、大学生になって初めて食べた。それから月島へ行ったり大学の近くのお店であったりで何度も食べたけど、何度食べてもこれでうまくできてるのかって不安。これが本当に料理なのかなというところから不安。 海老の話、かっぱえびせんの話、かっぱえびせんはえびの粉末が使われているらしいという話を聞いて、自分がえびで粉末となったらというのを想像する、「わたしが粉末になってさあ…人に食べてもらえたら、それはちょっと嬉しいかも…」と告白して「それは聞きたくなかったわー」と言われてしまう。でも自分が粉になりエッセンスのようになってまんべんなく絡まって、粉になってもちゃんと味がして味わってもらえるならそれは嬉しいと思う。彼はそれならペーストになりたいと言ったけどわたしは油や他のものと混じってしまうペーストはいやだ。自分の発言が思い出すたび笑える。