知らないよ

7月29日、王舟のソロとザ・ムンズの竹野恭章の弾き語りライブを観る。江の電みたいな東急世田谷線に乗って向かった松陰神社前のSTUDYというカフェにて。竹野さんの歌が好きで数ヶ月前から何度かライブを観に行っているけど、その日はそれまでと比べてあまりいいライブじゃなかった。声がよく出ていなかったし選曲も新しい弾き語りアルバムからの曲が多くて物足りなかった。彼のライブは昔の曲と現在の曲とがごちゃまぜになってるほうがおもしろい。
彼の音楽について、しっかりと紹介できるほど言葉に落とし込めていないのが残念なのだけど。思ったことだけ書きます。私は、竹野さんの演奏を聞いてるとき、すっごく自由な気持ちになる。他のどんな瞬間にも感じないほど。手足がのびのびとして細かい動作を気にしなくなって好きなように笑ったり泣いたりしていいんだなあ、って思う。以前ライブのフライヤーでザ・ムンズについて、「ザ・ムンズの音楽の特徴は、少々の演奏間違いなど気にしないで、とにかく衝動のみで録音された演奏の持つ不安定さに有る。」と書いてあって、それを自分で言うかあ、と初めて見た時は思ったけれど、音源も実際の演奏もそのとおりだった。チューニング合わないままギター鳴らすし、ノートの歌詞見ながら歌うし、アウトロは途中で終えてしまうし。つまりは適当さ、ってことなのだけど、そのハプニングを全部受け入れてしまう寛容さ、広さのせいで力が抜ける。ほかのどんなところにいても何をしていても、自室でくつろいでるときでも、私は私を越えられてない。
彼の音楽は「良い」です。いちいちよい。ザ・ムンズの新譜『Stand with many troubles』の12曲目、「決心」という曲が一番好き。ライブで何度か聞いていて、買って帰ってきてまずこの曲を再生した、CDを1曲目から聞かなかったことは初めてかもしれない。ビールとワインを飲み過ぎて酔っぱらいながら聴いて泣いちゃったことがある。サビのメロディーと歌詞が大好き。愛する気持ちなんて人と比較できないんだけれど、私は彼が歌う「愛する」の、足下にも及ばないな、と思わされる。口ずさむ。
6月に行われた古巣・小倉ギャラリーソープでのライブ映像。当日、観客を映すアングルでUstream配信されているのを見てたんだけど、これは本当に日本なんだろうか?と思ってた、お客さんのライブを見る時のノリが全然違う、外国みたいで、盛り上がっていて、自由で、愛されていて。こんな音楽が日本のどこかで鳴らされてて、こんなことほんとに起こるんだ。

終演後、ライブを観にきていた豊田道倫さんと少しだけお話できたんだけれど、その数分間が異様にエキサイティングだった。