りんご

春の陽射しは明るくて恥ずかしい。冬の間寒さと暗さの中に静かに隠してきたものが日を浴びて一気に暴かれるようだ。花がたくさん咲いている。オオイヌノフグリもなずなもたんぽぽも梅も桜も咲いている。ホーホケキョも聴いた。もう4月で、さすがに春だなあ、と実感させられる1日。明日が日曜日。
木蓮が大好きだ。白色の木蓮が。春の暖かい白日のもとで、雪が降っているようだから。今日は街の様々なところの木蓮を見て回れたので嬉しい。大きな花びらがそのまま散って道路で茶色く汚れるのも好きだ。sleepy.abで「好きなものが多いほうが幸せに決まっている」という言葉があって、昔は「はぁ?」と思っていたけれど近頃はそうかもなあ、と思うようになった。好きなものには大きな声で「好きだ!」と言って、嫌いなものには触れないまま何も言わなければそれなりにいい日になるもんだと思う。こうやって、以前わからなかったことがわかるようになってくのかな。無知な私は情けなくてまったく恥ずかしいけれど、わからないままでいたかった気もする。「大人になりたい」って歌う人もいるけれど私は同意できない。若さにしがみついている。
思い出が増えていくことがこわい。未来より過去の方が、思い出の方が私は好きだ。これからまた何重も記憶を積み重ねていって、大切な思い出が増えていって、それを背負って生きてくことになるのだ、と思うと失望する。