shell

鎌倉に行ってきた。何も予定がない一日、まず朝寝坊をして途方に暮れたけれど、私が一番したかったことは「海が見たい」だった。12時半に出発して、14時に鎌倉に着いてから、長い一日だった。無計画に一人だと本当にうまく回れない。歩き損のようになっている。人力車を牽くお兄さんに声をかけられて教えてもらって、本覚寺の桜を眺めた。トイカメラの写真が全く撮れていなかった。倒れたご神木を見に行くのを諦めて、江ノ電に乗って江ノ島へ。あの先輩が一番好きな電車だと言っていた江ノ電。駅から海へ行くまでの道のりの途中にギャラリーがあったので入ってみて少し眺めた。「月見る君想う」という題の油絵が一番気に入った。
2時間くらいずっと、海を見ていた。裸足になって波を踏んだ。私は海を抱きしめていたい、海というとこれが頭に浮かぶ。海に還りたい。入水して死にたい。言葉にしたくない。きっと忘れてしまうでしょ。いつまで見ていても飽きない。暗くなって明かりが目立つようになっていって、水平線と空と遠くの海岸が灰色にかすんでいった。
何十メートルか離れたところに、知人に似た風貌の男の人が立っていて、煙草を吸ったりお酒(?)を飲んだり、立ったままずっと海を見ていた。私はずっと気になっていた。何を考えながらずっと海を見ていたんだろう。でもどうでもいい気もした。私は、悩みなんて何もなかった。建設的なことなんて何にも考えていなかった。波やその音や、足元で転がる貝を見てた。
私の目や耳が波によって少し洗われた気がする。クリアに、よく見えるようになった。
雨が降ってきたから、18時になったから、帰った。こんなにも別れが惜しいことは久々で、後ろ向きで海を見つめながら帰った。少し離れただけで、波の音は聞こえなくなって、車の音や人の話し声がうるさくなる。海。
ミルクホールに行ってカレーライスとコーヒーを飲んで帰った。ミルクホールは2010年7月で改装のため一時閉店してしまうらしいね。コーヒーは酸味が強くて私の好みの味ではなかったけれど、昭和の雰囲気を残す素敵な雰囲気のお店でした。
電車が止まってたので遠回りをして帰った。拾った1つの白い貝がらをポケットの中でもてあそんで落ち着いた。長い一日だった。こんな文体なのは、カミュの「異邦人」を読んでいるからです。