いちにちめ

静かだ。静かで、でも少しずつうねりをもって動いている。林檎を囓って食べた。
まゆげ、上を向いたまつげ、ピンクのチーク、ラメの入ったアイシャドウ、かたちよく垂れている前髪、肩まで届かないくらいのふわふわとした茶色い髪。小さいモチーフの付いた控えめなネックレス、細い指輪、花柄のワンピース、カーディガンを着た細い腕。ヒールをはいてて、前に一緒に歩いたときよりその人が近い。女らしくなった、そういうのんを、ずうっと見ていた。見てた私は、黒髪にパーマかけたのをおろしただけ、カーディガンにスキニーパンツにスニーカーという学生、サエない子って感じ。打たれる気持ち。
平均的な女性の身長より高いくせに、自分より背の高い男の人がいい、って思うのは、その人の前で自分が絶対的にちいさくてかわいらしい存在でいたいからだ、っていうのは、ちょっと前から気付いてたこと。