人生は旅だそうだ

書き物をするのに、恐ろしく時間がかかる。たいそれたものではなくて、もう何年も続けてきていることだけれど、未だに何時間もかかる。人に伝えることを目的として書くのは、難しい。ここでは、以前よりかは人に読まれることも意識するようにはなったけれど、やはり自分のため、記録のため、満足のために書いています。人へ伝えるためではなく、自分の中で如何にいい落としどころを見つけられるか。それは楽しいです。
昨日4/22(日)は、TOIROCK FESTIVAL 2012@さいたまスーパーアリーナ TOIROへ行ってきました。あの週末は実に色んなイベントが重なっていたけれど、TOIROにもなかなかに人が入っていて、でも年が近い知り合いは一人もいなくて、うれしいような心細いような。私の好きなアーティストばかりが出た、一日でした。
ランタンパレードのライブを初めて観た。ギター1本での弾き語りでのライブ。短髪で、黒ぶちメガネをかけて、ボーダーのカットソーにGパンをはいたランタンパレードは、思っていた以上に普通のおじさんだった。譜面台にスケッチブックを広げ、大体は目を瞑って、MCもほとんど無しに、ひたすら歌っていた。きっとすごくたくさんの音楽を聴いて、それを再構成して作ってきた人が、自分で歌を歌い始めた時にこんなに脆くて美しいメロディが出てくることに、驚き、雷に打たれたようになって、痺れて動けず立ち尽くす。去年発売されたアルバムはバンドセットでの録音で、確かな、見事なアレンジの演奏の中で歌の揺らぎが際立っていた。弾き語りでは、その揺らぎは少し違ったように聞こえた。少し震えた声、触れたら崩れてしまいそうなその不確かさが、より恐ろしかった。そして、震える声が歌うことば。もう、これは一種の言葉の暴力なんじゃないか、とさえ思った。こんなにも的確に、現実と、その内の諦念と絶望と希望が示されるなんて。私が今聞きたかった、言ってほしかった言葉がランタンパレードの歌の中にあって、少し涙ぐんでしまう。残酷だけれどそれだから、とてもやさしい。アルバム収録曲と新曲とが半々だった。多作な人なのだろうと思う。
以前私が書いたLantern Parade『夏の一部始終』の紹介文の一部を載せてみる。久しぶりに見て、感心したり、頼りないなと呆れたりした。「どうしようもない諦めと、それでも前を向くこと、生きること。大げさでない、ささやかな希望が咲いている。震えるような、やさしく無防備な歌声、 美しいメロディに心打たれる。楽曲を前に言葉の無力さをこれほどまでに感じたのは初めてです。とにかくぜひ1度、聴いてほしい。」

王舟、NRQ、oono yuukiのライブも素晴らしかった。NRQの「イノメ」→「ボストーク」の流れは何度聴いても、最高としか言えない。素晴らしいです。ぜひとも、一度、ライブを観てほしい。oono yuukiはバンド編成での演奏、mmmさんの代わりに麓健一さんがフルートを吹いていた。きっとmmmさんと同じフレーズを鳴らしているのに、麓さんがフルートを吹けば彼のメロディになるし音色になる。彼自身はそれが嫌いなのかな、とも思うけれど私はとても好きです。メンバー全員男、ということもあってか男気溢れるステージだったように思う。フロアの後ろのほうでは円陣(?)も組まれていたそうで、かなり盛り上がったライブだった。でも、もっといいライブを見たいし、見れるだろうと思うのでまたライブに行きます。アリーナで行われていたFUNKY MONKEY BABYSのコンサートの話に触れ、「僕たちが君のFUNKY MONKEY BABYSです」と言うoonoさん。歌のある新曲の、「夜の光と昼間の闇」ということばが好き。「ライブ中、楽しそうだったね」とフジワラさんに声をかけられ、ちょっと恥ずかしい気持ちになる。王舟の弾き語りライブは初めて。でも、彼の楽曲はそれ自体、バンドで演奏されたがっていると感じたのでまたバンドセットでのライブを見たい。抗いようの無い、グッドメロディ。
ランタンパレードの新曲の歌詞で、「一番欲しいものは何か、どうしてそれを選んだのか、その理由は何か、なぜその理由になったのか」というような歌詞があって、ついこの間面接で同じことを聞かれたな、と思って少し笑えた。一番欲しいのものってなんだろうね。