なんか、いい暮らし

4/21(土)盪在空中と白い汽笛@七針 を観てきた。
大阪からやってきたバンド・白い汽笛は、ギターボーカルとベースとオルガン(ときにウクレレや鍵盤ハーモニカ)の3人組。左右に体を揺らしながら、おだやかな気持ちで聴く。「日々暮らしている中で、音楽をやっているんですけれど、」と小倉さんがMCで話していたのを聞いて、「そうかあ!」と一人納得した。白い汽笛は、暮らしの音楽。素朴な歌声が歌うのは、日々の生活でふと感じる気持ちやほんの些細な出来事。それを、3人が丁寧に奏でると、「あ、暮らし、大切にしたいなあ」ってほんのりと思う。誰かの暮らしから現れてきたメロディーだけれど、自分の暮らしにも寄り添ってくれるやさしさがある。小倉さんの歌詞からは季節の匂いが感じられて、夏や冬の、身近な光景を思い浮かべる。オルガンの音色になんとなく郷愁を煽られて、ベースの弾くメロディーラインにはっとする。最後の2曲ではoono yuukiさんがマンドリンで参加して、ベース・ギター・ウクレレマンドリンの22本の弦で鳴らされた「労働」と「カステラ」という新曲は、それぞれの奏でる音がくっついたり離れたり絡み合ったりして、きっとそこで、人と人とが出会ったり別れたりしていた。

台湾から来日した盪在空中のライブ、すごくかっこよかった。どうかっこいいのか、どうして惹かれるのか、未だしっくりくるポイントや表現が自分の中で見つかっていない。「台湾のフィッシュマンズ」というキャッチコピーが出回っていて、人目を引くためには十分な紹介だと思う。彼らがフィッシュマンズに影響を受けているというのは事実らしく、たしかにベースラインや後ろノリのドラム、リズムギターのカッティングはそれっぽい。でも、それだけじゃあない。私はそれらは、本家を聞き慣れた日本のリスナーに親しみやすさとして機能していると思ってる。それ以上に、今の日本の音楽シーンにはない何かがプラスされて、すごくきらきらきらしてる。東京の音楽と比べてよりインディー感があって逞しい。音楽、楽しくてやってるんだろな、というのが伝わってきて、愛おしい。似ているからかどうしても日本と比べてしまうね、異国趣味なのかもしれないけれど。中国語で歌うので歌詞の意味はわからないけれど、ギターボーカルの頼Qの歌にはなんとなく甘酸っぱい響きがある。歌がないパートでは、彼がリードギターを弾いていたのが印象的だった。声があまり出ていなくて、演奏中に龍角散のど飴を舐めてた。昨夜は来日初日で、前日はパーティーをしていてメンバーは一睡もしていない、とのことだったのでコンディションがあまりよくなかったと思う、演奏は全体的に粗かった。でも、もっと大きいところでも観てみたいな、と思わせるポテンシャルを感じ取れました。私は彼らをタワーレコードの試聴機で初めて聴いて、「なんか、いいなあ…!」とうれしくなって、一度その場を離れたあとも何度か試聴しに戻った、という思い出があります。そんな感じ、紹介文として情けないけれど、「なんか、いい」ので、ぜひ聴いてみてほしいです。4/25(水)に渋谷O-nestにてレコ発ライブがあります。
ちなみにこのイントロ、前野健太の「石」になんとなく似てると思ってる。