夜に生まれる

罪って償えるんだろうか。贖罪。私をダメにしているのは私。このままどこへも行けなかったらどうするのだろ。
2月に荻窪velvet sunで見た、フジワラサトシさんのライブが忘れられない。静かさや繊細さを堪能する音楽は、私にはあまり"わからない"ような気がして苦手だった。けれど、バンドセットで見た、背景に深紅のカーテンが垂れた、あの空間の特別な音楽が、記憶に深く染み込んで消えない。緊張ではない、心地よく張りつめた瞬間。自分の呼吸さえ愛おしく思った。フジワラさんの歌声は弦の音に似ている。歌らしくなく滑るように音階を移る、弦がビリリと震えるような声。チェロやバイオリンと鳴らされて、歌声もアンサンブルに加わる。ひそやかに鳴らされる音楽が人の脆さや優しさまでも聞こえさせる気がして、その暴かれように恐ろしくなる。この音楽が、複数人で共有され鳴らされているという事実が驚くべきこと、そして、救いである。

この曲が大好きで、Youtubeで何度も聴く。自分の呼吸が愛おしくなることって、そうある? 麓健一ともoono yuukiともフジワラサトシとも共演する、チェロのナガヤマタカオさんって何者なんだろう、とも思った。