もはや平和ではない

昨日観てきた笹口騒音ハーモニカ、そしてうみのて、すごくかっこよかったです。知ったのはつい最近だけれど、竹内道宏さんが撮った動画をYoutubeで何度も見て、新しい音源を聴いて、わくわくしながら向かった渋谷屋根裏、4マンだったので60分のステージ。動画で見る何倍もかっこよかったし、1時間はあっという間だった。
うみのてで演奏される曲の歌詞について。「もはや平和ではない」という曲は秋葉原事件からインスピレーションを受けて作ったそうだ。原発北朝鮮のミサイル、もっとホットなトピックならイマ、たくさん暴かれてきている。インターネットの闇とか人のつながりの希薄さとか、そういうものってある程度語り尽くされてきたし今更じゃんと思う、けど、なぜこんなにも鬼気迫って聞こえるのか。ドラマチックなアレンジだから?笹口さんだから?こういう問題が意識的に取り上げられる時期が過ぎて、当たり前に人々の心にこびりつくようになってるから?
構成は比較的ミニマルだし、歌詞の内容はちょっと古くさい気もする、でもどうしても心奪われてしまう。かーっこいいんだこれが!
ギターの高野さんはその日もド派手なシャツを着ていて、気持ち悪かっこ良かった、ギターソロを弾く体勢がおかしい笑、うみのての曲をぎらぎらに煽っているのは彼のギターだと思う。それと不穏なベースラインが好き。うみのてのメンバーは元は、笹口さんの音楽を周りで聴いていたリスナーだったんだ、という話を聞いて、メンバーみんながフロントマンの方を向いているという点に、勝手にoono yuukiバンドと似たものを見出す。
おそらくうみのてを目当てにして来た人達が、ステージの前でみんな自由に体を揺らして音楽を楽しんでいて、その光景が、いいなあって思った。その日は年齢層が広いのが目に見えてわかった。うみのて、愛されてるな。
熱風にあてられたような、本当にかっこいい!ライブだった。機会があったら今ぜひ観てほしいバンドです。

2番手だった笹口騒音ハーモニカ。2曲目の「おんがくのじかん」で観客にコーラスを求める、でも歌詞にそうだよなあとうなずく。「きぼー、きぼー」なんて歌って晴れやかな笑顔になって、それまでを笑っちゃうところがいい。ギターを持って一人で歌う姿や話す仕草を見て、私はなぜか大好きな前野健太を思い出しました。「この人についていきたい!」って思わせるカリスマ性みたいなものが意図されずににじみ出ていて、笹口さんが大好きだって言う友人の気持ちがわかる気がした。

"BABY BLUES"という企画名にちなんで、「SAYONARA BABY BLUE」という曲を演奏していた。私はいつもこういう曲ばかり好きになる。女の子をなぐさめたり哀れんだりしてくれるやさしい曲、ほかにも狐の会とか初恋の嵐とか、私はそういう思いで聞いていて、甘ったれの自分は情けない。ただ、この曲に出てくる女の子は強い。「雑巾と呼ばれたって生きる BABY BLUE」、そのくらい生に執着してもいいものか、と思う。
昨日、京都・祇園で起こった事件を思いながら「もはや平和ではない」を聞いた。東日本大震災が起こって「たとえば僕が売れたら」を聞いた。今公開されてる映画『新しい戦争を始めよう』では、笹口さんは警告するように歌を歌うアーティスト、として出てくるそうだけど、あながち間違っていないのかもしれない。映画でどう落としどころをつけているのか気になるので、映画も観に行ってみたいと思っている。