彼女は言う そう言う

諦めが心を穏やかにしている。反芻しすぎて意味のなくなった言葉を繰り返す。
見ていた景色がこのまま続いていくものだと思えない。終わりがあるから美しいのだと思う。永遠に続いていくものは愛おしく思えない。
夕暮れを感じたのは久しぶりだった。自転車に乗りながら電線を見上げて、人間が創ったもっとも美しいものは電柱と電線なんじゃないかとか、馬鹿みたいなことを考える。あの電波塔はいつ見ても綺麗だ。歩いて帰る中学生とか、天使が現れてきそうな荘厳な赤い雲とか、しろい空に映える電線とか、葉はまだ濃い緑ばかりで花は小さくしか咲いていなくて、たいしたことない風景だったけれどでも、こんな美しい夕暮れを目にするのはもう二度とないだろうと思った。未来のことが、まったくもって想像できないんだよ。終わりが近づいている。自分で決めたそこへ向かって確実に歩いている。未来の話は全部嘘だと思った。それでも未来を感じることもあった。予定なんてたててないよ、想像できないまま妄想して、終わりが始まりになるかは私次第だと思うんだ。何も変わらないかもしれない。何か変わるかもしれない。翌日で変われたら、なにか変わるかもしれない。
くるりの歌はどこか"旅"を連想させるなあと思った。
麓健一さんのライブを見てきた。アンコールで、まさか「バリケード」をやってくれるとは、思っていなかったので、すごく嬉しかった。「十字」をやってくれたのもうれしかった。涙を素直に表現する言葉がわからない、どの言葉でも虚飾したように聞こえてしまう気がするんだ。涙が出たのはひさしぶりだったよ。生(なま)を実感する。生きている。アルバムを出す予定らしい(楽しみ!)、少しだけお話もさせてもらえて、とにかく嬉しかったです。ぴかちゅう。